ColdPlay in 武道館

それはいきなりの照明ダウンとBeatlesのつんざくような「Tommrow Never Knows」で始まりを告げた。


その後「Square One」のイントロが入りバックのスクリーンがカウントダウンを表示する。その後4人が登場。ライブは開始を告げた。


3曲目には「Yellow」が入る。
2階席の方から巨大な黄色の風船が何個も落ちてくる。
途中割れると中から金色の紙吹雪が舞い上がる。


曲の途中でクリスの辿々しい日本語のMCが入る以外は、ほとんど隙間無く2枚目と3枚目のアルバムからの曲を立て続けにやる。


そしてあっけなく1時間足らずで一時終了。
ちょっと短く感じたが中身は濃かった。


それはいわば、照明と影とバックスクリーンに映る映像が醸し出す何とも言えない空間にコールドプレイのなんか焦ったような音楽が絡み合い不思議な調和を見せていた。


やはりヨーロッパのバンドなんだ。
アメリカのバンドとは違うエンタテイメント性を感じる。
なんか格調高いというか、芸術性を感じる。
日本人の細やかな感性にも合う。
さすがに巨大な会場でやるように成っている彼らには、ライブにいろいろな仕掛けをしてくる必要性は出て来ているのだろうが、そんなに派手な演出を繰り出しているわけではない。どちらかというとストイックである。


効果が高かったのはバックの巨大スクリーンに映し出される映像リミックスの数々。ライブの模様をリアルタイムに映し出しそこにエフェクトをかけたりしてライブと完全に融合していた。


彼らの音楽は前にも書いたが、一種ヨーロッパ的なパラダイムにとらわれているようで、それ故に、緻密にデザインされた作品としての音楽を聴かせる側に提供するのだが、音楽の送り手と聞き手が完全に隔絶されるという側面が少なくともCDというメディアから感じられていた。黒人音楽のようなもっと聞き手とのコミュニケーションン性を求める表現者としての焦りを見つけられないでいた。


しかし今回のライブでそれは違うのだと思った。
コールドプレイの音楽の有り様は、黒人音楽のそれとは違った形で切実に聞き手とのコミュニケーションを求めているように感じられた。それはライブのアンコールで演奏された最後が、「In my place」と「Fix you」であった事でもよくわかるのだ。


最近の彼らは自分らの音楽に飽き飽きしているようで、頻繁に解散説なんかが出ている。しかし今のアルバムで「Fix you」は次への方向性の一部を出している曲なのではないかと思っていた。彼らがこれからどうするかはわからないが、しばらくしっかりと休みをとって次への道筋への答えを出してもらいたいと切に願う。