Common -- Be

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正直言ってCommonと言うアーティストのことは知らなかった。
たまたまAmazonで見かけて、大好きなKanye Westのプロデュースと言うこと、そしてジャケットの感じが70年代ソウルの感じがしたので、Bob Greenの単行本と一緒にポチッとしたのだった。


聴いてみるとこれは異常に出来の良いアルバムであることがわかった。
Kanyeのトラックメークは異常に気合いが入っているし。


HipHopというのもいろいろある。
ほとんどHipHopを聴かない人にとっては、エミネムや50Centの様なギャングスタ系のものを思い浮かべる人が多いであろう。あのHipHop独特なブカブカファッションだとか、典型的なステージパフォーマンスやビデオでの女、派手な車、銃声などだけでイメージしてしまうと、HipHopは単に様式美という意味ではかつてのヘビメタなんかと同じになってしまうのだが、彼らのもつ硬質でと重いビートとイメージに反するかのような暗いメロディーは、それはそれで、今までのブラックミュージックの流れに対する一種、批評的な働きを果たしている。
それとは別に、もっとかつての良質なブラックミュージックへの尊敬を音楽の中に取り入れ、もっと軽やかで、流麗に流れるような音楽を作っている一派もある。Kanyeと言う人もその一派であるし、Commonもその仲間であるようだ。


基本的には70年代ソウル等の良質な影響を大きく取り入れながら、非常にコンテンポラリなパッケージにまとめられたこのアルバムは、単に、HipHop好き以外の人、特に上記に挙げたような典型的なHipHopの世界観に拒否反応を示してしまう人にもおすすめである。特に古いソウル等も好きなブラックミュージック好きには大変おすすめできる。
HipHopは音楽の一つのあり方であり、音楽のスタイルである。そう感じさせる一枚である。


僕はと言えば、これはヘビーローテーションになるだろうな。
温もりのあるビート感は精神を鎮静させてくれるし、一種、マイナートランキライザーの様な働きを果たしてくれる。
これを聴いていれば、地下鉄の中で、パニック症候群に襲われ途中下車しなくてもよいだろう。