これもアメリカ

カトリーナ」によるニューオーリンズの被害は、思わぬアメリカの一面を浮き彫りにしたようである。


市街地から事前に抜け出せたのは富裕な白人層。彼らは住宅に保険もかけているので家を取り戻すことが出来る。
一方、車も持たず市街地から抜け出すことも出来ず、家も無くし途方に暮れ、不満と不安の略奪を繰り広げているのは、貧困層の黒人中心。
混乱を極める市街地はまるで「市街戦」の様相。
避難所はまるで「途上国の難民キャンプ」並。


別にこういった状況をもって、富裕層と貧困層を激しく分けるアメリカ的資本主義の弊害だとか、流行のアフリカ救援のような「博愛」的視点からの感想を持つわけでは、特にはない。
ただ、やはり今回も僕が思うのは、「これもアメリカ」だな、と。
世界でも有数の豊かな国家であるアメリカでもこういう現実なのだと。


世界的に見ても、中国や北朝鮮などの一般的には「共産主義」を標榜する国家にしても、日本のようによりアメリカ的資本主義の価値観を導入していく傾向にある国にしても、本当に世界的に富裕層と貧困層の格差の増大というものが拡大する傾向にあると思う。
こういった社会では戦争や災害などの被害が起こったときに、今回のルイジアナのようなことが起こってくるということを今回は僕に明確にしてくれたということである。


よくアメリカの映画では、こういった災害や戦争などの外敵による攻撃をみんなで一丸となって退けて協力し合って立ち向かって勝利するというストーリーが多いが、今回の現実はそうではないことをはっきりとあらわしているよね。
もちろん僕自身そういった価値観を信じていたわけではないけど。


ただ、僕の大好きな黒人音楽のふるさとであるルイジアナの現状は少し悲しい。
また、ルイジアナの現実は世界のこれからの現実になるだろうと思うし、ある意味象徴であると思う。僕らが世界の人々が等しく豊かになる手法を持たない限り、その真逆の傾向は加速していくと思うし、その象徴として今のルイジアナがあると思うから。



究極のへたれ曲 Paul Simonの「American Tune」をききながら。